歯周病
歯周病を予防しよう
歯周病とは、歯を支える周りの歯槽骨が減り、歯が最終的には脱落する病です。歯槽骨が減るのは歯の周りに炎症があるためです。
歯周病を予防するには、一番はもちろんブラッシングですが、食生活も見直す必要があり、食生活を踏まえて日常生活での生活習慣全般を見直せば、全身的な健康にもつながります。歯周病の原因は歯の汚れである歯垢(プラーク)です。ネバネバしたタンパク質の膜で覆われています。歯垢のネバネバした性質が歯垢除去を不完全にしています。
歯肉炎(歯肉ポケット2~6mm)
歯肉にプラークがたまり、歯肉ポケットになります。場所によっては歯石も少し付きます。まだ、歯槽骨(歯根膜)は破壊されていません。
軽度歯周炎(歯周ポケット3~5mm)
歯肉の腫れが強くなり、歯周ポケットを形成します。ポケット内部にはプラークや歯石がたまります。歯槽骨(歯根膜)も破壊され始めます。
中等度歯周炎(歯周ポケット4~7mm)
炎症はさらに広がって歯槽骨の破壊も根の長さの半分くらいまで進み、歯がぐらぐらし始めます。歯肉が少し下がってきます。
重度歯周炎(歯周ポケット6mm)
歯槽骨は半分以上破壊され、歯はぐらぐらです。
危険要因(リスクファクター)
歯周病はプラークの中の細菌が原因であることが知られています。しかし近年では、疾患を進行させる原因としては、他にも多くの要素が関わっていると言われるようになっており、それらをリスクファクターと呼びます。リスクファクターは下記のようなことが原因で挙げられています。
〈局所性危険因子〉
プラークの蓄積量を増加させるような危険因子
歯石 | 歯石は表面が粗ぞうのためプラークが付着しやすく歯周病の治療には除去が不可欠です。 |
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虫歯 | 歯質に実質欠損を伴う虫歯が存在するとその周辺はプラークが蓄積しやすくなります。 |
不適合な詰め物 ・被せ物 |
歯質との辺縁に段差が生じていると、そこへプラークが蓄積しやすくなります。 |
口呼吸 | 口呼吸では上顎前歯など局所が乾燥状態になり、唾液による自浄作用が低下しプラークの蓄積が増加します。 |
咬合異常 ・歯列不正 |
自浄作用が低下したり、セルフケアも難しくなるため、プラーク除去が困難となる場合があります。 |
歯周ポケット | 歯周病により歯周ポケットが深くなってしまっている場合、深いところは歯ブラシなどの清掃器具が届きにくくプラークが停滞しやすい状態となります。 |
〈全身性危険因子〉
プラークが付着していても全ての人が同じように歯周病が進行するわけではなく、進行には個人差があります。歯周病のリスクが高くなる因子
喫煙 | ニコチンは歯に歯垢を付着させやすくし、免疫力も低下させると考えられています。 |
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ストレス | 精神的・肉体的なストレスは、唾液の性状を変えたり、免疫力を低下させます。 |
口呼吸 | 鼻ではなく口を中心に呼吸する人は、口の中が乾燥して、唾液の働きが弱まります。 |
妊婦・思春期 の女性 |
歯茎から染み出る体液と女性ホルモンが混ざると歯周病菌の増殖を助けるとされています。 |
糖尿病 | 糖尿病の高血糖や血液中のブドウ糖のアンバランスが歯周病を起こしやすくすると同時に、歯周病になると血糖値コントロールを阻害するとされ、糖尿病のリスクにもなっています。これ以外にも色々な原因があります。 |
歯周ポケット | 歯周病により歯周ポケットが深くなってしまっている場合、深いところは歯ブラシなどの清掃器具が届きにくくプラークが停滞しやすい状態となります。 |
歯周外科治療とは
歯周外科とは、歯の周りの組織に対する外科的な処置をすることです。
歯周組織には歯肉(歯茎)・骨・歯根膜(歯と骨の間に存在するクッション材みたいな組織)・セメント質(歯の根っこの表面)があります。歯周病によって崩壊がおきたこれらの組織を外科的な処置により綺麗に形態修正又は再生を促すことが目的です。
メリット |
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デメリット |
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自家骨移植
骨の量が少ない場合に、患者様ご自身の別部位の骨の一部を移植する手術もあります。
生物学的幅径とは
専門用語なのでかみ砕くと「適正な歯茎の厚み」の事です。説明画像の数字は平均値であってもちろん個人個人違います。その厚みが歯周病や虫歯によって病的な状態に陥ると炎症を引き起こしやすい状態になります。
すなわちブラシを当てると痛みが出たり、汚れが溜まりやすかったりせっかく精度の高い被せ物をしても長持ちしません。もし問題を抱えているようならご相談の上、積極的に改善を促していきたいと考えています。
歯周外科の症例集
症例1. 根面被覆
歯茎が下がってしまっています。 | 歯茎を移植して覆った状態です。 汚れが付きにくくなりました。 |
症例2. GTR
歯茎を移植して覆った状態です。 汚れが付きにくくなりました。 |
メンブレンという膜をおいて 骨が再生しやすい環境にします |
レントゲン写真上で白っぽくなってきました。 骨が再生されはじめています。 |
症例3. 歯肉切除
歯茎が部分的に分厚い状態です。 | 歯茎の位置を下げました。 | これで精度が高くかつ維持力の高い被せ物ができます。 |
症例4. 歯冠長延長術
歯平面が傾いてしまっています。 | 歯茎を下げる手術を行いました。 |
歯茎が綺麗に治りました。 | 平面も整って綺麗に被せ物が入りました。 |
症例5. エムドゲイン
骨が無くなってしまっています。 | 再生を促す薬です。 | 薬を塗布した後すぐ縫合。 |
術前 | 2ヵ月後 | 6ヶ月後 | 8ヵ月後 |
このように術前より歯周環境を整え汚れが溜まりにくくかつ手入れのしやすい環境を作ることが目的です。そして整えた環境を長く維持していく為にも定期検診は欠かせません。必ず歯周外科を行うというわけではありません。必要があればご相談の上方針を決めていきます。
治療に伴うリスク
再生療法における術後のリスクは、移植した自家骨または、人工骨が歯肉の縫合の裂開により感染することがあります。